伝統工芸品は高いもの、という印象があるかもしれません。けれど244品目の多くは、もともと暮らしの道具として作られてきたものです。箸やてぬぐい、豆皿のように、単品なら数千円で本物の手仕事が手に入ります。ここでは「最初の一つ」に向く品を用途別に選びました。
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食卓に置く:箸・豆皿・そば猪口
最も手軽なのは箸です。若狭塗箸は国内の塗箸の八割を作る産地で、貝殻や卵殻を研ぎ出した模様の箸が数千円から手に入ります。津軽塗の唐塗の箸は三千円前後からで、何十回も塗り重ねた丈夫さを毎日実感できます。
豆皿やそば猪口も入門に向きます。九谷焼の豆皿は色絵の華やかさを小さく楽しめ、波佐見焼や砥部焼のそば猪口は千円台から揃います。
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若狭塗わかさぬり
貝殻や卵殻を漆に埋めて研ぎ出す、海底の模様。若狭塗箸は国内の塗箸の八割。
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津軽塗つがるぬり
四十回以上塗り重ねて研ぎ出す「唐塗」の斑模様。「馬鹿塗」と呼ばれるほど手間をかけた漆器。
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九谷焼くたにやき
五彩の上絵付けが器を埋め尽くす、加賀の華麗な色絵磁器。
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波佐見焼はさみやき
「くらわんか碗」から現代のモダン食器まで。手頃で丈夫な日常磁器の産地。
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砥部焼とべやき
厚手で丈夫な白磁に、藍の呉須で唐草や太陽を描く日常の器。
台所で使う:土鍋・鉄鍋・包丁
四日市萬古焼の一人用土鍋や、南部鉄器の小さな鉄鍋は五千円前後からあります。土佐打刃物の黒打ちの包丁は五千円前後から、越後三条打刃物の包丁は八千円前後からで、家庭用として長く使えます。
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四日市萬古焼よっかいちばんこやき
国内の土鍋の八割を作る産地。紫泥の急須と、直火に強い耐熱の器。
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南部鉄器なんぶてっき
鉄瓶で沸かした湯はまろやか。あられ模様の鉄瓶と鉄鍋で世界的に知られる鋳物。
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土佐打刃物とさうちはもの
自由鍛造で作る鉈、鎌、包丁。林業の国・土佐が育てた頑丈な刃物。
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越後三条打刃物えちごさんじょううちはもの
和釘から始まった鍛冶の町。包丁、鉈、鎌、鋸など十種類の刃物を打つ。
身につける・持ち歩く:てぬぐい・がま口・名刺入れ
東京本染注染や浪華本染めのてぬぐいは千円台からで、裏まで染まった本染めの質感を楽しめます。博多織のがま口や名刺入れは献上柄が男女どちらにも向き、甲州印伝のがま口は鹿革に漆の模様が軽やかです。伊賀くみひもや京くみひものストラップは千円前後からあります。
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東京本染注染とうきょうほんぞめちゅうせん
重ねた生地に染料を注いで裏まで染め抜く注染。てぬぐいや浴衣を作る東京の染め。
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博多織はかたおり
細い経糸を密に張り、太い緯糸を打ち込んで織る張りのある絹織物。「献上柄」の帯で有名。
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甲州印伝こうしゅういんでん
鹿革に漆で模様を置く、軽くて丈夫な革の工芸。財布、名刺入れ、バッグの定番。
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伊賀くみひもいがくみひも
帯締めの国内生産の大半を担う、伊賀の絹の組みひも。
部屋に飾る:うちわ・こけし・寄木細工
丸亀うちわや房州うちわは千円台から、夏の風物詩として飾っても使っても楽しめます。宮城伝統こけしは小さなものなら千五百円前後から、工人ごとの表情を集める楽しみがあります。箱根寄木細工のコースターや小箱は幾何学模様が美しく、千円台から選べます。
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丸亀うちわまるがめうちわ
国内のうちわの九割を作る産地。一本の竹から柄と骨を作る「平柄」の丈夫なうちわ。
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宮城伝統こけしみやぎでんとうこけし
鳴子、遠刈田、弥治郎、作並、肘折。温泉地で育った五系統のこけし。
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箱根寄木細工はこねよせぎざいく
色の違う木を組み合わせて幾何学模様を作る、箱根の代名詞。からくり箱でも人気。
価格はあくまで目安で、作り手や仕様によって変わります。まずは一つ、毎日手に取るものから選んでみると、産地や作り手への興味が自然と広がっていきます。