国指定の伝統的工芸品には、打刃物の産地が八つあります。堺、越前、三条、与板、土佐、三木、信州、そして千葉です。刃物の町として有名な岐阜県関市の「関の刃物」は県指定で、国指定には含まれていません。ここでは家庭で使う包丁を選ぶ視点で、産地ごとの個性を比べます。
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産地ごとの個性
堺打刃物は片刃の和包丁の本場で、プロの料理人の多くが使う出刃や柳刃が中心です。越前打刃物は薄く軽い包丁が得意で、家庭用の三徳包丁やペティナイフも豊富です。越後三条打刃物は家庭用から業務用まで幅広く、価格と品質のバランスに優れます。土佐打刃物は黒打ちの素朴な包丁が手頃で、鉈や鎌などアウトドア用品も揃います。播州三木打刃物は大工道具が中心ですが、包丁も作られています。
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堺打刃物さかいうちはもの
プロの料理人の九割が使うといわれる和包丁の頂点。鍛冶と研ぎの分業が生む切れ味。
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越前打刃物えちぜんうちはもの
刀匠・千代鶴国安に始まる七百年の鍛冶。二枚広げの薄い包丁と鎌。
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越後三条打刃物えちごさんじょううちはもの
和釘から始まった鍛冶の町。包丁、鉈、鎌、鋸など十種類の刃物を打つ。
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土佐打刃物とさうちはもの
自由鍛造で作る鉈、鎌、包丁。林業の国・土佐が育てた頑丈な刃物。
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播州三木打刃物ばんしゅうみきうちはもの
鋸、鑿、鉋、鏝、小刀。全国の大工が信頼する「金物のまち」三木の道具。
包丁の種類を決める
初めての一本なら、肉・魚・野菜に使える「三徳包丁」が万能です。魚をさばくなら「出刃」、刺身を引くなら「柳刃」、野菜を切るなら「薄刃」や「菜切り」と、用途ごとに専用の包丁があります。和包丁の多くは片刃で、右利き用・左利き用があるので注意します。
鋼かステンレスか
鋼(白紙、青紙など)の包丁は切れ味が鋭く研ぎやすい一方、錆びやすいため使用後すぐに水気を拭く必要があります。ステンレスや、鋼をステンレスで挟んだ複合材の包丁は手入れが楽で、家庭用に向きます。伝統的な打刃物の産地でも、複合材の包丁は多く作られています。
手入れと研ぎ直し
切れ味が落ちたら砥石で研ぎます。産地の工房や刃物店では研ぎ直しのサービスを提供しているところが多く、郵送で受け付ける工房もあります。長く使うなら、購入時に研ぎ直しの相談ができる工房を選ぶと安心です。
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越後与板打刃物えちごよいたうちはもの
鉋と鑿。宮大工や家具職人が指名する、与板の大工道具。
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信州打刃物しんしゅううちはもの
川中島の合戦で武具を直した鍛冶に始まる、薄くよく切れる信州鎌と包丁。
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千葉工匠具ちばこうしょうぐ
鎌、鋸、包丁。房総の農漁業を支えた鍛冶の技を受け継ぐ、千葉の打刃物。
包丁は毎日使う道具です。産地の個性を知ったうえで一本選ぶと、料理の時間が少し楽しくなります。各品目のページから、通販や産地の工房を探してみてください。