温泉の基礎知識

温泉分析書の読み方 — 泉質名・泉温・pH・浸透圧の見方

温泉の脱衣所には、温泉法にもとづいて「温泉分析書」や温泉の成分・禁忌症・入浴上の注意の掲示があります。少し難しく見えますが、いくつかの決まりを知っておくと、そのお湯がどんな温泉なのかを読み取れるようになります。

温泉分析書に書かれている主な項目

泉質名の読み方

泉質名は「陽イオン-陰イオン泉」の形で書かれます。たとえば「ナトリウム-塩化物泉」は、陽イオンではナトリウム、陰イオンでは塩化物イオンが主な成分という意味です。成分表の「ミリバル%」が20%以上の成分を多い順に並べるため、「ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩泉」のように長くなることもあります。

溶けている成分の量が少ない場合(1kgあたり1,000mg未満)で、源泉の温度が25℃以上のものは「単純温泉」です。さらに、硫黄や鉄、二酸化炭素などの特別な成分が一定量以上あると、「含硫黄-」「含鉄-」のように名前の前に付いたり、「硫黄泉」「二酸化炭素泉」などの泉質名になったりします。

療養泉の基準になる成分

泉質名や適応症の掲示の対象になる「療養泉」は、源泉の温度が25℃以上か、温泉水1kgに次のどれかが基準以上含まれているものです。

成分(温泉水1kgあたり)療養泉の基準関係する泉質
溶存物質の総量(ガス性のものを除く)1,000mg以上塩化物泉・炭酸水素塩泉・硫酸塩泉など
遊離二酸化炭素1,000mg以上二酸化炭素泉
総鉄イオン20mg以上含鉄泉
水素イオン1mg以上酸性泉
よう化物イオン10mg以上含よう素泉
総硫黄2mg以上硫黄泉
ラドン30(100億分の1キュリー単位)以上放射能泉

泉温・液性・浸透圧の区分

温泉分析書の泉質名の後ろには、「(低張性 弱アルカリ性 高温泉)」のように、3つの性質が添えられていることがあります。

分け方区分
泉温(源泉の温度)冷鉱泉:25℃未満 / 低温泉:25℃以上34℃未満 / 温泉:34℃以上42℃未満 / 高温泉:42℃以上
液性(pH)酸性:pH3未満 / 弱酸性:pH3以上6未満 / 中性:pH6以上7.5未満 / 弱アルカリ性:pH7.5以上8.5未満 / アルカリ性:pH8.5以上
浸透圧(溶存物質の総量)低張性:8g/kg未満 / 等張性:8g/kg以上10g/kg未満 / 高張性:10g/kg以上

浸透圧は、体液との濃さの違いを表します。高張性のお湯は成分が濃く、体に成分が入りやすいといわれる一方、湯あたりしやすいともいわれます。アルカリ性のお湯は、肌がすべすべした感触になることが多く、「美肌の湯」と紹介される温泉にもよく見られます。

分析書を読むときの注意

出典:環境省の温泉法関係の基準、千葉県衛生研究所 公開講座「千葉県の温泉水のはなし」、広島市「温泉の成分等の掲示」資料など。数値の区分は鉱泉分析法指針にもとづく一般的なものです。