温泉の基礎知識
温泉の効能(適応症)と禁忌症の見方
温泉の脱衣所に掲示されている「効能」は、正式には適応症といいます。温泉法にもとづき、環境省が泉質ごとに定めたもので、2014年(平成26年)に約30年ぶりに見直されました。ここでは、その見方をやさしく紹介します。
適応症は2種類ある
適応症には、成分が一定の基準を満たす「療養泉」すべてに共通する一般的適応症と、泉質ごとに決められた泉質別適応症があります。脱衣所の掲示では、この2つがあわせて書かれているのがふつうです。
- 一般的適応症(浴用)
- 筋肉若しくは関節の慢性的な痛み又はこわばり(関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、神経痛、五十肩、打撲、捻挫などの慢性期)、運動麻痺における筋肉のこわばり、冷え性、末梢循環障害、胃腸機能の低下、軽症高血圧、耐糖能異常(糖尿病)、軽い高コレステロール血症、軽い喘息又は肺気腫、痔の痛み、自律神経不安定症、ストレスによる諸症状(睡眠障害、うつ状態など)、病後回復期、疲労回復、健康増進
泉質別の適応症
| 泉質 | 泉質別適応症(浴用) |
|---|---|
| 単純温泉 | 自律神経不安定症、不眠症、うつ状態 |
| 塩化物泉 | きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症 |
| 炭酸水素塩泉 | きりきず、末梢循環障害、冷え性、皮膚乾燥症 |
| 硫酸塩泉 | きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症 |
| 二酸化炭素泉 | きりきず、末梢循環障害、冷え性、自律神経不安定症 |
| 含鉄泉 | —(一般的適応症のみ) |
| 酸性泉 | アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、耐糖能異常(糖尿病)、表皮化膿症 |
| 含よう素泉 | —(一般的適応症のみ) |
| 硫黄泉 | アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、慢性湿疹、表皮化膿症(硫化水素型は末梢循環障害も) |
| 放射能泉 | 高尿酸血症(痛風)、関節リウマチ、強直性脊椎炎など |
入浴を避けたい「禁忌症」
反対に、温泉に入るのを避けるべき状態も定められています。病気の活動期(とくに熱のあるとき)、活動性の結核、進行した悪性腫瘍や高度の貧血など体の衰弱が著しい場合、少し動くと息苦しくなるような重い心臓や肺の病気、むくみのあるような重い腎臓の病気、消化管出血、目に見える出血があるとき、慢性の病気の急性増悪期です。泉質によっては、ほかに禁忌症が加わることもあります。
温泉分析書で泉質を確かめる
同じ温泉地でも、宿や源泉によって泉質が違うことは珍しくありません。浴場に掲示されている温泉分析書には、泉質名、源泉の温度、pH、成分の量が書かれています。泉質名は「ナトリウム-塩化物泉」のように、多く含まれる成分の名前を並べて表します。
適応症は「この病気が治る」という意味ではなく、温泉療養の対象になりうる症状を示したものです。効き方には個人差があります。治療中の方は、医師に相談してから入浴してください。
出典:環境省「温泉法第18条第1項の規定に基づく禁忌症及び入浴又は飲用上の注意の掲示等の基準」(平成26年改訂)、東京都保健医療局「温泉の利用について」